建設業者のための株式会社設立の方法

このページでは、建設業者のための株式会社の設立の方法を紹介します。

株式会社設立と建設業許可の概要を必要最小限で解説しますので、準備段階から申請までの大枠をつかんでください。

建設業許可や株式会社設立についての詳細は、別途ページを用意していますので、概要をつかんだら、ぜひご覧ください。

目次

  1. 重要な要件を確認
  2. 費用について
  3. 株式会社設立の必要書類
  4. 建設業許可申請の必要書類
  5. 建設業許可取得までの期間
  6. 社会保険への加入
  7. 建設業許可の欠格事由

1重要な要件を確認

最初にするのは、重要要件の確認です。建設業許可を取得する際の最大の壁ともいえますので、まずはこちらを確認します。

人的要件

経営業務管理責任者

経営業務の管理責任者の要件を満たす人を、常勤の取締役に、1以上就任させる必要があります。
代表取締役である必要はありません。また、監査役ではだめです。
また、他の会社等で経営業務の管理責任者となっている人は、登録会社以外で経営業務の管理責任者になれませんのでご注意ください。

経営業務管理責任者についての詳細はこちらをご覧ください。
①経営業務の管理責任者

専任技術者

専任技術者の要件を満たす人を、常勤の役員または従業員として雇う必要があります。専任技術者は取得予定の業種毎に、国家資格者が変わりますので、確認が必要です。
専任技術者に関しては、従業員でもなれます。ただし、常勤性は求められますので、正社員等である必要があり、アルバイト等ではなれません。
また、経営業務の管理責任者と同様、他の会社等で専任技術者等に就いている人は、登録会社以外で専任技術者になれませんのでご注意ください。

専任技術者についての詳細はこちらをご覧ください。
②専任技術者

財産的要件

建設業許可の財産的要件は、一般建設業許可の場合、下記のいずれかを満たす必要があ
ります。

・自己資本の額が500万円以上あること
・500万円以上の資金調達能力を有すること

株式会社の場合は、資本金を500万円で設立すれば、「自己資本の額が500万円以上あること」の要件をクリアできます。

「500万円以上の資金調達能力を有すること」の要件を満たす場合は、例えば会社名義の銀行口座で500万円以上の預金残高証明書を取得できればクリアです。(銀行口座を複数所持している場合は注意が必要です。)また、各都道府県毎に残高証明書の有効期限が変わりますので、お気を付けください。埼玉県の場合は、申請日前1ヶ月以内となります。

財産的要件についての詳細はこちらをご覧ください。
④財産的基礎

営業所要件

建設業許可を取得するには、営業所を設置する必要があります。
営業所とは、本店、支店、又は常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
一般的には次の要件を備えているものをいいます。
(1) 応接スペースがあり、請負契約締結の業務を行っていること。
(2) 電話、机、事務台帳等を備えていること。
(3) 契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他法人等とは間仕切りで明確に区分されていること。
(4) 営業用事務所としての使用権原を有していること。自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること。(住居専用契約は原則認められません。)
(5) 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かるように表示してあること。
(6) 経営業務管理責任者等の契約締結の権限を付与された者が常勤していること。
(7) 専任技術者が常勤していること。

※プレハブ等の登記されていない事務所でも、営業所として認められる場合があります。詳細は、管轄の建設業許可申請窓口にご確認ください。
※したがって、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等は、この営業所に該当しません。

事業目的

建設業法に定められている業種を、そのまま記載することが無難です。
本業である建設業種以外の目的も記載できます。もし後から目的変更登記が必要になった場合には、登録免許税が3万円かかりますので、設立後に業種を追加する可能性があるものは記載をしておきましょう。

定款記載例

小規模会社(非公開,取締役1名,監査役・会計参与非設置)


 

○○株式会社定款
第1章 総則

(商号)
第1条  当会社は,○○株式会社と称する。
(目的)
第2条  当会社は,次の事業を行うことを目的とする。
 (1)  建築一式工事
 (2)  不動産の売買・賃貸借管理及びこれらの仲介業
 (3)  前各号に附帯又は関連する一切の事業
(本店所在地)
第3条  当会社は,本店を埼玉県○○市に置く。
(公告方法)
第4条  当会社の公告は,官報に掲載する方法により行う。

第2章 株式

(発行可能株式総数)
第5条  当会社の発行可能株式総数は,100株とする。
(株券の不発行)
第6条  当会社の発行する株式については,株券を発行しない。
(株式の譲渡制限)
第7条  当会社の発行する株式の譲渡による取得については,取締役の承認を受けなければならない。ただし,当会社の株主に譲渡する場合は,承認をしたものとみなす。
(基準日)
第8条  当会社は,毎年3月末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって,その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
  2  前項のほか,必要があるときは,あらかじめ公告して,一定の日の最終の株主名簿に記載又は記録されている株主又は登録株式質権者をもって,その権利を行使することができる株主又は登録株式質権者とすることができる。
(株主の住所等の届出)
第9条  当会社の株主及び登録株式質権者又はそれらの法定代理人は,当会社所定の書式により,住所,氏名及び印鑑を当会社に届け出なければならない。
  2  前項の届出事項を変更したときも同様とする。

第3章 株主総会

(招集時期)
第10条  当会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後3か月以内に招集し,臨時株主総会は,必要がある場合に招集する。
(招集権者)
第11条  株主総会は,法令に別段の定めがある場合を除き,取締役が招集する。
(招集通知)
第12条  株主総会の招集通知は,当該株主総会で議決権を行使することができる株主に対し,会日の5日前までに発する。
(株主総会の議長)
第13条  株主総会の議長は,取締役がこれに当たる。
  2  取締役に事故があるときは,当該株主総会で議長を選出する。
(株主総会の決議)
第14条  株主総会の決議は,法令又は定款に別段の定めがある場合を除き,出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。
(議事録)
第15条  株主総会の議事については,開催日時,場所,出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し,議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし,株主総会の日から10年間本店に備え置く。

第4章 取締役

(取締役の員数)
第16条  当会社の取締役は,1名とする。
(取締役の資格)
第17条  取締役は,当会社の株主の中から選任する。ただし,必要があるときは,株主以外の者から選任することを妨げない。
(取締役の選任)
第18条  取締役は,株主総会において,議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。
(取締役の任期)
第19条  取締役の任期は,選任後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとする。

第5章 計算

(事業年度)
第20条  当会社の事業年度は,毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。
(剰余金の配当)
第21条  剰余金の配当は,毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して行う。
(配当の除斥期間)
第22条  剰余金の配当が,その支払の提供の日から3年を経過しても受領されないときは,当会社は,その支払義務を免れるものとする。

第6章 附則

(設立に際して出資される財産の価額及び成立後の資本金の額)
第23条  当会社の設立に際して出資される財産の価額は,金500万円とする。
  2  当会社の成立後の資本金の額は,金500万円とする。
(最初の事業年度)
第24条  当会社の最初の事業年度は,当会社成立の日から平成○○年3月末日までとする。
(設立時取締役等)
第25条  当会社の設立時取締役は,次のとおりである。
   設立時取締役  ○○○○
(発起人の氏名ほか)
第26条  発起人の氏名,住所及び設立に際して割当てを受ける株式数並びに株式と引換えに払い込む金銭の額は,次のとおりである。
 埼玉県さいたま市○○区○町○丁目○番○号
    発起人  ○○○○   10株  金500万円
(法令の準拠)
第27条  この定款に規定のない事項は,すべて会社法その他の法令に従う。

 以上,○○株式会社設立のためこの定款を作成し,発起人が次に記名押印する。
     平成○○年○○月○○日
         発起人   ○○○○   (印)


 

2費用について

建設業許可申請と株式会社設立にかかる法定実費は次の通りです。法定実費は手続きを行政書士等の専門家に依頼せず、ご自身でする場合にも発生する役所に支払う手数料や登録免許税等の費用です。

建設業許可申請の法定実費
新規許可申請(都道府県知事)  90000円
新規許可申請(国土交通大臣)  150000円

株式会社設立の法定実費
定款印紙代 40000円
※印紙代40000円は、当事務所にて電子定款認証を行う場合にはかかりません。
定款認証手数料 50000円
定款の謄本交付 約2000円(1枚250円)
登録免許税 150000円

※その他、登記事項証明書、代表者の印鑑証明書、法人印鑑等が必要になります。

上記から、都道府県知事許可の株式会社設立の場合、33万2千円が最低限かかります。

内訳
許可申請手数料90000円+定款印紙代40000円+定款人称手数料50000円+定款の謄本交付2000円+登録免許税150000円=332000円

なお、合同会社(LLC)設立の場合は、定款認証が不要で、登録免許税も60000円となります。そのため、株式会社より、140000円安く設立ができます。さらに、電子定款を作成すれば印紙代40000円もかかりません。費用を安く押さえたい場合は、おすすめの会社形態です。

3株式会社設立の必要書類

一般的な株式会社の設立に必要となる書類は次の通りです。

  • 登記申請書
  • 登録免許税の収入印紙を添付した用紙
  • 登記すべき事項を保存したCD-R又はFD
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 取締役の就任承諾書
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 取締役全員の印鑑登録証明書
  • 払込みを証する証明書
  • 印鑑届出書
  • 印鑑カード交付申請書

4建設業許可申請の必要書類

新規の場合の申請書類は下記の通りになります。

  • 建設業許可申請書
  • 役員等の一覧表
  • 営業所一覧表(新規許可等)
  • 収入印紙、証紙等貼付欄
  • 専任技術者一覧表
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 使用人数
  • 誓約書
  • 経営業務の管理責任者証明書(場合により証明者の印鑑証明書と履歴事項証明書)
  • 専任技術者証明書/実務経験証明書/資格の免状等
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
  • 国家資格者等・監理技術者一覧表
  • 許可申請者の住所・生年月日等に関する調書
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所・生年月日等に関する調書
  • 株主(出資者)調書(法人の場合のみ)
  • 営業の沿革
  • 所属建設業者団体
  • 健康保険等の加入状況
  • 主要取引金融機関名
  • 財務諸表
  • 定款
  • 履歴事項証明書
  • 納税証明書(新規設立の場合は、県税事務所印のある、法人設立届出書の控)
  • 事務所の写真
  • 登記されていないことの証明書
  • 身分証明書   など

※ケースによっては上記に掲載のない例外的な追加書類を提出する場合もあります。

建設業許可申請についての詳細はこちらをご覧ください。
必要書類一覧

5建設業許可取得までの期間

会社の設立に要する期間は、ご自身で全て書類を作成する場合は、1ヶ月を目安にした方が良いでしょう。
建設業許可に関しては、お仕事と並行して申請書類を作成する場合、2ヶ月程はかかるのではと思います。そのため、建設業許可を取得するまでに、3~4ヶ月はかかるでしょう。
慣れない申請書類の準備で、何度も役所へ足を運ぶことになります。また役所は平日の日中しか窓口が開いておりません。業務が忙しい業者さんは専門家へ依頼することをおすすめします。

行政書士に依頼した場合は、会社設立から建設業許可申請をするまでで1ヶ月程になります。その後、役所から許可が下りるまでに30日程かかります。
そのため、行政書士に依頼した場合、ご依頼から早くて2ヶ月後に建設業許可が取得できます。

6社会保険等への加入

会社を設立した後は、社会保険の加入手続きを年金事務所で行います。法人であれば従業員の人数にかかわらず強制適用です。たとえ社長1人の法人であっても加入要件に合致すれば手続きが必要です。

建設業許可申請時にも、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入について、報告しなければなりません。平成28年4月現在、社会保険に加入していない場合でも建設業許可申請を受理してもらえますが、加入への指導通知書が交付されます。今のところ建設業許可に影響はありませんが、平成29年度以降に100%加入を目指すと国を挙げて取り組んでいます。

雇用保険に関しても、建設業許可申請で報告をします。そのため、従業員を雇っている場合等に加入手続きをしましょう。

社会保険についての詳細はこちらをご覧ください。
⇒建設業者のための社会保険手続き

7建設業許可の欠格事由

会社の役員等に次に掲げるものに1つでも該当する場合は、許可がされません。
1成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ていない
2違反行為による許可取消から5年経過していない
3上の取消に係る通知後に廃業した場合は、廃業の届から5年経過していない
4上の通知前60日以内に法人役員、支店長、支配人であった者は、廃業の届から5年経過していない
5営業停止期間中の者
6営業禁止期間中の者
7禁固以上の刑の執行を終り、5年経過していない
8一定の法令に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者

欠格事由についての詳細はこちらをご覧ください。
⑤欠格事由